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お待たせしますた前編の続き。
その作家志望の女性は会計事務所勤めをしていて、私などよりも社会経験豊かな筈なのだが言う事がことごとくどこかズレていた。 以下「珍言集」の一部。()内は私のツッコミ。 「彼氏がいるという事は、人間としても女性としてもノーマルな訳で・・・」(「お互いの人格を尊重し合う」のと「オスとメスがサカる」のは別物。) 「男言葉を使う女は、男気質」(単に〝汚い言葉〟ならその辺の女子高生でも普通に使うよ。) 「私が常識的でノーマルだったら、結婚してますって」(これは当ブログでもかなり前に書いた。それなら自分の子供を虐待して死なせる親など居ない筈。) 「審査員の審査を私達が〝審査〟する事だってあるんですよ」(あくまでも結果論。新人賞の段階でその後生き残れる奴とそうで無い奴を判断出来る様なら、賞など要らぬ。) 「新人賞に応募して、一回で賞取れない奴に才能なんて無いのでは・・・」(はぁ~?そんな事誰が決めた。人それぞれではないかい。) 「こんな頓珍漢な人が果たして作家になんかなれるんだろうか」と密かに思っていたが、目指しているのがファンタジー系ジュニア小説だったので、「ひょっとしたらこういう浮世離れした〝おんなのこの感性〟が必要な世界なのかも知れない」と思いもした。 一度だけ作品を読ませて貰った事があって、素人目にも「基本的な文章力はある人だ」と感じた。 ただ決定的な「何か」が欠けていた。 新人賞の締め切りが近くなると何日も徹夜したりして、「書く事」自体に対しては極めて真摯で勤勉な人であったのだけれども。賞では常に最終選考止まりで、もう一歩の壁を突き抜けられなくて悩んでいた。 案の定「ファンタジー部分については幻想的な世界観を作り出す事に成功しているが、現実世界を描くと隙間風が吹く」という選評を貰っていた(らしい)。 本人にもある程度の自覚はあって、「どんなにテクニックで補っても、日頃の自分の考えの浅さが作品に出てしまう」。(「芋たこなんきん」で町子が似た様な事を言っていた。「確かに書き続けていれば文章のテクニックは上達します。でも人間観察が出来ているかどうかは別です。」) 彼女は幼少時に〝性的トラウマ〟を受けていて、それが創作の原動力になっていて、体験を作中人物に投影させた話を多く書いていた。 でも「トラウマ」だけで書けるほど甘くはない。 「作家になるの、やめようかどうしようか考え中」。・・・迷う時点で〝終わってる〟気がするが。別に誰かに言われて目指してる訳では無いんだし。 彼女はとある通信教育で小説の添削指導を受けていたのだが、受講期間が終わりそうな頃添削者に「良ければ、これからも無料で個人的に添削致します。私の住所を教えますので」と言われ、周囲に小説の事で頼るべき人間がいなかったので縋る思いで従っていたんだそうで。 で、添削して貰うに当たって無料なので毎回謝礼の代わりに地元の特産品を添えて送っていた。 この話を聞いた時にはある意味感動した。私より2、3歳年下の筈なのに発想が既に〝田舎オバ〟^^;。(インターネット上の知人に話したら「そんなどノーマルな人が、アブノーマルな世界に入ろうとする事自体間違ってると思います」。) 添削指導者というのがとんでもない男で、通信教育会社のデータを勝手に持ち出しては(今なら立派に個人情報保護法違反だぞ~w)、女性受講者の情報を得て「無料で添削」を口実に親しくなろうとしていて、最後には本人が「イヤだ」「もう連絡して来ないで欲しい」と言っているにも関わらず結婚まで迫っていた。他の受講者にも同じ事をしていたんだそうだ。 気持ちは分からなくもないが。「無料で添削」なんつー話を持ち出して来た段階で怪しいとは思わなかったのだろうか。「懐疑精神」の欠如。 この間の経緯を聞くと、彼女は何かどんどんどんどん添削者のペースにハマっていっており、殆どなす術が無いのだ。こちらが歯痒くなるくらいに。 異性に対して恐怖感があって無力なのはそれもやっぱり「幼少時のトラウマのせい」だと。 「自分の受けた傷をさらけ出すのは、辛いものです」。そこをもう一歩、突き抜けられないか。作品だけではないこの人の〝課題〟ってその辺にあるんじゃないか。と思っていたのだが。 結局彼女とは「ケンカ別れ」になった(私ってこればっかりやw)。 当時連載していた作品が人気が落ちて来て「打ち切り」を宣告された時期で「落ち込んでて食欲減退・・・」と手紙に書いたら「地元の名物で食欲の出る食べ物があるから、送ろうか」と言って来たので思わず「ちげぇだろう」。 精神的に切羽詰っていたのもあって、「そんな経済的余裕があるんだったら、いつも本屋で立ち読みばっかしてないで雑誌を買ってアンケートに○付けてくれ~~~。」と書いてしまったらそれが彼女をいたく傷付けたらしくて。 慌てて一度は「アナタからすればそれが私に対する最上級の思いやりだったのでしょう」とフォローの手紙を出して、関係を修復したかに見えたのだがこれがフォローになっていなかった。(^^ゞ その人は常日頃「私なんて甘ちゃんの田舎者だから・・・」と書いていたので、「アナタは〝甘ちゃんさん〟なのだからどんなピント外れな事をなさっても仕方が無い、そういう個性に対して腹は立て様が無い」と書いて返事を楽しみにしていたら「私にだって、誇りはありますからね」「ああ、この人は手紙でしか相手を判断出来ない人なんだ」。 「謙遜」とゆーよりはツッコミ防止の為の「自己防衛」だったのねん。 まぁ全てとは言わないが、文章である程度相手のレベルは推し量れるんではないかと。 「それならアナタも私の事を手紙で『手紙でしか相手を判断出来ない人』と判断しているのだから、結局同じ穴のムジナでは?」と切り返したが(何か禅問答みたいだw)未だに返事は無し。 最後の方は相手もかなり支離滅裂だったな~。殆ど「キ~~~ッ!!」なヒステリー状態。 「基本的に〝自分の考え〟を持たない、他人の意見を聞き入れる主義」だと言っていた。 「水の様な人」と言えばそうなのかも知れないが、「宮本武蔵」円明の巻の「魚歌水心」、「波騒は世の常である。波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は躍る。けれど、誰が知ろう、百尺下の水の心を。水のふかさを。」というよりはただの「浅瀬」だな~、と。 結局私の意見を聞き入れる事はお出来にならなかったし。 長くなったのでそろそろ締めに入る。で、 「ちょ~ど今の仕事が面白くなって来た所で、アナタとはいい潮時だと思った♪」。(同じ手紙で「アナタとうだうだやってる暇があったら、創作にパワーを費やした方がまし」と矛盾した事も書いていたが。) こういう人が下手にデビューしてしまってスクラップにされるよりかは、まっとうな世界で地道な人生歩んだ方が良いかと私も思う。 私などよりも遥かに「地域社会の常識」をわきまえておられる方だったし。 評論家の呉智英氏曰く、 「楳図かずおという人がいて、この人は明らかに変な生活をしてるんだけども、みんな誰もそれについて非難する人はいない。「芋たこなんきん」で「諦める勇気も必要」だと言っていた。言い方は色々あるだろう。「逃げ」「安定を選ぶ」。 私はまだ諦める気にはなれない。自分に全然能力が無くて駄目だというのなら納得がいくが、「あんな連中に潰されたまま終わってたまるか」という思いがあるので。 才人かただの「勘違い馬鹿」か、現在そのボーダーライン上を彷徨っている身なだけに他人事とは思えない話であった。 ↓気が向いたらどぞ。
by tokkey_0524zet
| 2007-02-02 18:22
| 体験談
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Comments(9)
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g-day5 at 2007-02-02 23:30
いろいろ考えさせられました。わたしはこのエントリがすごく好きです。
既成の枠って、この女性、自分で作ってますよね。カテゴリーなんて、ほんとははじめからどこにもないと思うのです。まあ、自分で選んだ道をつまらない屁理屈つけて簡単に諦めるあたりは、しょせん・・・とその女性に言いたいですよね。 ただ残念ながら、ウィットに乏しいところなど、わたしはその女性と少し似ているところがある(えーん)と思いました。甘ちゃんは甘ちゃんとして、身の丈に合った泳ぐ術を体得していきたいと真面目に考えましたよ(笑)。 話は変わりますが、同じような立場の人からいや~な思いをさせられると、それがバネになって頑張れる、というのはわたしにはあります。汚い手を使ってひきずり落とそうとした相手を逆に後ろ足で蹴落としたこともあります。ですので、「あんな連中に潰されたまま終わってたまるか」というお気持ち、非常によく分かるつもりです。そうです、絶対に負けないのです。根性見せましょうぞ。
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tokkey_0524zet at 2007-02-03 00:16
でもg-day5さんはまだそういうご自分を「客観視」出来てますよね^^。
彼女があれから〝壁の向こう側にあるもの〟を見る事が出来たのか、それとも未だに〝トラウマ子ちゃん〟のままなのか、他人事ながら気に掛かっております。知る術はもうありませんけれど。
例えば役者さんというのは、作品ごとに別人格になりきる必要があります。創作者の場合も、物語に没入している間はそうなるでしょう。ただ、評価に値する作品を「ものする」ことが出来る人は、生活者としてのありようも確たる人物じゃないのかな?なんて思います。「憑かれた」ように書ける人は、「憑かれてない」時は別人格になってるんでは?
もちろん「憑かれて」いる時も客観的な技術レベルは必要ですが。 その方はファンタジー側のバイアスが強くて、つまりはバランスがよくないのかもしれませんね?切り替えが出来ないタイプであるとか? 難しいもんですね。
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tokkey_0524zet at 2007-02-03 04:30
・・・何と言うか、日頃の物の見方が全てにおいて凄く表層的で「浅い」んですよね~。
「切り替え」以前にその辺の問題だった気がします。 勿論実生活はちゃんとしてても、作品世界になると滅茶苦茶をやれる人はいると思いますが。 「道に外れた」事を書くにしても、やっぱり物事の本質を踏まえた上でないと書けないんではないかと。
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tokkey_0524zet at 2007-02-04 23:37
自身の「トラウマ体験」を作品に投影させる事に関して異常なまでに熱意を注ぎ込む割に現実的な事象に関心が薄いのか、観察力・分析能力・洞察力に乏しい人でした(乏しいというより「絶無」かもw)。
本人に言わせればそれも全部「トラウマのせい」になってしまうのでしょうが。 手紙で当時のニュースやTV番組について話題にしていても、こちらが指摘した事を「言われてみれば・・・」「それは全然気付きませんでした」と相槌を打つパターンが多かった気がします。
私も、少し、耳が痛い・・・です。
最近、人間が誰も居ないところに行きたいです(笑)。
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tokkey_0524zet at 2007-02-14 08:05
無人島ですか。沖ノ島や小屋島、白島、柱島、大机島、小机島とか?
(へいたらうさんの場合、いずれにしても福岡県から離れられないイメージがありますものでw。)
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heitaroh at 2007-03-23 11:24
蛇とムカデがいなければ、どこでもいいです。
あと、できれば、ネオンがあれば・・・(笑)。
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tokkey_0524zet at 2007-03-23 20:02
そうですか。私は「カエルさえ居ない場所で都心に近い地方都市で海が見える所」が良いです♬。
ところで春のセンバツ、大牟田(福岡)見事に玉砕しちゃいましたね~残念。(でもあのブロックを勝ち抜けるのは元から厳しい・・・^^;)。 熊本工に小城、鹿児島商に都城泉ヶ丘も1回戦の相手を見るとちょっとキツそうな感じ。 高校野球、また九州勢に「冬の時代」が来るのかしらん。
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