四境戦争。

c0017651_0162125.jpg
 久々に趣味で描いたイラスト。CLIP STUDIO PAINT使用。

 四境戦争(第二次長州征伐)。
 1865年(慶応元)5月~1867年(慶応3)1月23日。

【大島口】
高杉晋作・世良修蔵
第二奇兵隊他
  vs
佐久間大学(松山藩監察)
伊予松山藩兵・幕府海軍

長州軍:1000人
幕府軍:20000人

 大村の戦略構想では大島は「捨て石」にする予定であったが、幕府軍の略奪暴行の酷さに憤激した高杉晋作らが夜襲をかけこれを奪回。

【芸州口】
井上聞多(馨)・河瀬安四郎
遊撃隊・岩国藩兵他
  vs
小原鉄心(美濃大垣藩家老)
彦根・紀伊・越後高田・大垣藩兵・幕府陸軍

長州軍:1000人
幕府軍:50000人


 先鋒の井伊・榊原隊は戦国時代さながらの旧式装備で一撃でこれを潰走させたが、代わって出て来たフランス式装備と軍事調練を施された庶民上がりの幕府歩兵に、家老が開明的な人物で長州藩よりも早い時期から洋式装備を取り入れていた美濃大垣藩が途方もなく強く苦戦に。
「専守防衛」に徹して辛うじて引き分けに持ち込む。

【石州口】
大村益次郎(村田蔵六)
南園隊・精鋭隊他
  vs
松平武聰(まつだいらたけあきら。徳川慶喜の異母弟)
山本半弥(浜田藩総大将)
浜田・福山・紀伊・越後高田・松江・鳥取藩兵

長州軍:1000(700)人
幕府軍:30000(7500)人

 石州口は比較的兵が弱く、指揮官の質も悪いので大村益次郎が直接指揮を取る事に。



 百姓笠に浴衣&半袴姿で団扇をバタバタさせながら部隊の後ろからトコトコついてゆくという、あり得ない行軍だっだというw。
 大村の知的統率力により長州藩の快勝。

【小倉口】
高杉晋作・山県狂介(有朋)
奇兵隊他
  vs
老中・小笠原長行(ながみち)
小倉・九州諸藩兵

長州軍:1000人
幕府軍:50000人

 大島口から戻った高杉晋作が指揮を取り、幕府への忠誠心が強い小倉藩との激戦を展開。
 老中・小笠原長行は将軍・徳川家茂薨去を理由に戦場を放棄、小倉城奈落という形で長州藩の勝利。

 坂本龍馬「海援隊」のユニオン号も参戦。

◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇

「花神」を読んで10代の頃は「蔵六すげー!かっけー!」という感想が先に立ったものだったが、今久々に読み返してみると随所に笑いがこみ上げて来るw。
「村田先生ははじめ周防宮市の梅田幽斎先生につかれて蘭方の初歩をまなばれ、のち幽斎先生の推薦にて浪華の大家緒方洪庵先生につかれた。とくに女科と産科を得意とされるから、その方を受けもっていただく。大いに吹聴してもらいたい」
 といったから、蔵六は大いに迷惑し、奥山のそでをひいて物かげへつれてゆき、訂正を申し入れた。

「ああいう申されようは、なりませぬ。窮理のこころにもとることです。私の実情はようやく蘭語が読める程度です。医については」
 と、蔵六はこわい顔で、自分はじつのところ生理学と病理学とを知っている程度で、内科にも外科にも通じていない、まして女科・産科に至っては知るところがない、第一、婦人というもののからだを死者以外にみたこともないのです、といった。

 奥山はおどろいた様子で、
「尊公は、遊里にも行ったことがないのか」
 と、叫んだ。患者の部屋にもきこえたろう。

「いや、わかりました。私がわるかった」
 と、奥山は気の早い男で、もう一度患者の控えノ間へゆき、
「村田氏はただいまこのように修正された」

 と、蔵六がいったとおりのことばを正直に患者たちに伝えた。患者たちにすれば、名医がやぶ医になったということらしい。
 ・・・何この会話(笑)。

 海音寺潮五郎氏は大村を「三段論法でしか物を考えられない性格破綻者」の一言で片付けてしまっているが(氏は鹿児島出身で“長州人嫌い”も多分に入ってるかと)、一見極めて地味で無愛想で何考えてるのか分からないデコッパチで不細工なおっさんをどこか愛嬌のある人物に仕立て上げたのは、やはり司馬氏のキャラクター造形の妙だな~と。

 「世間からは“変な人”と思われていても私だけはアンタの魅力を分かってるよ」と思わせる的な。
c0017651_0181569.jpg
 戊辰戦争が始まって後、江戸評定において小栗上野介「新政府軍が箱根関内に入ったところを陸軍で迎撃、同時に榎本率いる幕府艦隊を駿河湾に突入させて後続部隊を艦砲射撃で足止めし、箱根の敵軍を孤立化させて殲滅する」という案を徳川慶喜に進言して一蹴されている。 
後にこれを聞いた大村益次郎(村田蔵六)が「幕府が小栗の言う通りにしておれば我々は負けていた」とのコメントを残しているが、実は大村はこの「箱根迎撃案」を予測していて、薩長土の精鋭部隊を別働隊として中山道を進軍させていたという説があってこれが真実ならば大村益次郎恐るべし(;゚ ロ゚ )。

 「幕府側の人間で大村益次郎に対抗し得る戦略家は小栗上野介しかいない」と言われていたが小栗を数段上回っている。

・医者(緒方洪庵塾の塾頭=主席)

・軍事学者で翻訳家(高杉晋作の奇兵隊を指導。日本陸軍の基礎を築く。西洋式兵学の翻訳と、独学による内容の完璧な習得)

・エンジニア(蒸気船の設計をしたり、気球を作って飛ばしている)

・作曲家(日本初の軍歌・行進曲とされる、品川弥二郎作詞の「トコトンヤレ節」=宮さん宮さん)の作曲者とも言われている)

・数学者(「測角法ならびに三角測法」という高等数学の書物を著している)

・戦術家で戦略家(四境戦争、彰義隊討伐で戦局全体の戦略立案。指揮をさせても連戦連勝)

・会計の能力もあった(いくら使えば彰義隊を殲滅出来るか等、ほぼ正確な数字をはじき出していた)

・予言者(上野戦争では戦いの全てが事前の構想どおりに進み、敵が退却する時間まで的中。長岡、庄内、会津などの戦いでは敵が降伏する時期まで的中。戦闘以外の敵軍の動きまで的中させている。まぁ緻密な計算の上での“予言”なんだろうけど。
戊辰戦争の最中から既に10年後の西南戦争を予想。「四斤砲を沢山作っておけ」と遺言しておいたのがそのまま西南戦争で役に立つ。)

・お笑いの才能(村人「お暑うございますね」→蔵六「夏は暑いのが当たり前です」「そうです」→会話終了;´Д`)

 練兵・戦術・戦略・統率・会計・お笑いの全てにおいて日本最高レベル。

 こんな幕末の無双キャラがどうして知名度は今イチなんだろか。
 でも世間からは“変な人”と思われていても私だけはアンタの魅力を分かってるよw。
 

  ↓気が向いたらどぞ。
  
[PR]
by tokkey_0524zet | 2014-06-10 15:35 | 読書 | Trackback(1) | Comments(18)
トラックバックURL : https://sanaet0524.exblog.jp/tb/22217135
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 平太郎独白録 親愛なるア.. at 2014-07-15 19:10
タイトル : 幕末版オタク登用事例、大村益次郎。
大村益次郎という人物をご存じでしょうか。東京の靖国神社に銅像として置かれている人物・・・と言えば、思い当たる方もいらっしゃるかもしれませんが、事実上の日本陸軍の創始者とされている人です。ところが、この人は元々、長州藩出身とはいえ、松下村塾で知られる志士の出身ではなく、本来、幕末の激動とは何ら関係なく、家業の村医者を継ぐために、医学を学んだ学者さんだったとか。ただ、勉強の方は半端じゃないほどに出来た人のようで、防府の梅田幽斎、豊後国日田の広瀬淡窓、緒方洪庵の大坂適塾といった私塾に学び、長崎に遊学後は、適...... more
Commented by 6315x at 2014-06-12 21:29
装備に差があるとはいえ
負けるはずのない戦いに
負けていたのでは(^^;)
自分は大河ドラマの影響で
湯豆腐好きのオッサンというイメージが…
異形の人は脳細胞が発達してるんですね(^o^)
Commented by tokkey_0524zet at 2014-06-13 23:23
長州藩は兵力約5千、幕府側は12万とも15万とも言われています(資料によって数字がまちまち)。
大村益次郎の天才的な戦略が無ければ長州藩は木ッ端微塵にされていてその後の歴史は大きく変わっていた事でしょう。
モチベーションの差もあったかと思います。
長州側には「自分達の領土を守る為」死に物狂いで戦う理由がありましたが、諸藩側は“弱い者イジメみたいで嫌だけど幕府の命を受けたから仕方なく”討伐に向かわされた感も漂っています。
「花神」を読んでいると冬は湯豆腐、夏は冷奴が食べたくなるでアリマス^^。
Commented by 6315x at 2014-06-14 02:39
小倉藩が万一の場合に備えて
築いたのが香春岳城
セメントの採掘で見る影もないですが
万一の場合が現実に…(^^;)
Commented by tokkey_0524zet at 2014-06-14 03:57
小倉藩は四境戦争で小倉城を焼いた後香春岳城を拠点にしてたんですね~、知りませんでした(^^ゞ。
城主も目まぐるしく代わっていますね。
幕府は薩摩藩にも出兵を要請してるんですが、薩摩藩は頑として拒否していてこれが痛かった様です。
命令を拒否された薩摩に何も出来ない幕府も幕府でかなり弱体化してたんだと思いますが。
Commented by 6315x at 2014-06-24 22:03
盆地の田川まで引き込んで
挟撃すれば勝てるでしょうが
誘いに乗る愚か者はいないでしょう(^^;)
来年の大河ドラマは吉田松陰の妹(>_<)
Commented by tokkey_0524zet at 2014-06-24 23:49
吉田松陰は伊勢谷友介だそうですが、大村益次郎は誰が演じるんでしょうか(時期的に被りが少ないですけど)。
再来年は堺雅人主演の「真田幸村」で、幕末→戦国→幕末→戦国の繰り返しですねδ(⌒~⌒ι)。
Commented by 6315x at 2014-06-26 13:25
新島穣の妻でコケたのが
記憶に新しいですが(^^;)
全編フィクションで
卑弥呼伝とか、やればいいのに(-_-;)
Commented by tokkey_0524zet at 2014-06-26 17:23
上代の天皇とか神に関わる話は色々とマズいらしいです^^;。
それ考えると「太平記」なんてよく大河ドラマに出来たな~と思いますけど。
「八重の桜」に“ガトリング家老”河井継之助がチョイ役で出ていたそうですが(大村益次郎の次に好きな人物)、見逃してしまいました´xωx`)。
Commented by 6315x at 2014-06-29 07:24
自分的には
中村梅之助以外の大村益次郎は
イメージ出来ません(^^;)
小栗上野介を主役に据えるのは
無理かな(+_+)
Commented by tokkey_0524zet at 2014-06-30 16:35
1989年に「奇兵隊」という松平健(高杉晋作役)主演のドラマで大村益次郎を片岡鶴太郎が演じていましたが、結構実物の淡々としたイメージに近い気がしました。
見た目は不細工だけど声だけは良いという。

中村梅之助はちょっと喋り過ぎで暖かみがあり過ぎるかなと。
ドラマの主人公にするには仕方が無かったのかと思いますが(ルックス的には頭を伸ばすヅラを被ったり眉毛を濃くしたりしてかなり実物に似せていましたねw)。

10年ほど前岸谷吾朗主演の「またも辞めたか亭主殿〜幕末の名奉行・小栗上野介〜」という正月時代劇がありましたが、当時横須賀に住んでいて、小栗の作った横須賀造船所(現在は米軍横須賀基地になっている)がある関係でちょっとだけ盛り上がっていました。
Commented by 6315x at 2014-07-06 10:22
自分は片岡鶴太郎イコール
岩倉具視というイメージが(^^;)
榎本武揚や大鳥圭介よりは
土方歳三や小栗上野介の方に惹かれますね('_')
Commented by tokkey_0524zet at 2014-07-07 14:16
大鳥圭介は緒方洪庵の適塾で学んで西洋の兵学書を翻訳してその知識を買われて幕府方の歩兵奉行になって戦略家として担がれてゆく辺りは大村益次郎と鏡写しですね。
戊辰戦争で新政府に投降した後重用されて長生きしてますが。
土方歳三は自分の写真に加工修正させたりして(目を大きくした)ちょっとナルシスト入ってますね^^;。
Commented by 6315x at 2014-07-13 00:57
小栗上野介が処刑されたのは
徳川埋蔵金の隠し場所を
吐かなかったから
というのはホントなのかな(^^;)
Commented by heitaroh at 2014-07-15 19:38
ご無沙汰しております。相変わらずご活躍のようで。
TB戴いていたようですが、気が付きませんで申し訳ありませんでした。
最近はもう、ブログも役割を終えたかな感があり、滅多にTBが入ることもなく、静かな余生を過ごしておりました(笑)。
Commented by tokkey_0524zet at 2014-07-15 21:55
>6315xさん
小栗上野介は当時の大蔵大臣の様なもので一番幕府にお金が無いのを知っていました。

さっさと辞めて上州の権田村へ帰っていたのに、無血開城の際官軍が蔵に金が無いのを訝しがって勝海舟に問い詰めると勝が「オレは知らない、小栗に聞け」なんて言ったものだから「金はどこへやった!?」と責められて一方的に断罪されたんですよね。酷い話です。

なまじ勘定奉行として有能で資金調達をなんとかこなしてしまうために「奴にはものすごい資金源があるに違いない」等と過大評価されてしまったんでしょうね。

実際は彼の資金調達の力は「勘定奉行」の役職についてこそのもので、御役を離れた一旗本としての彼の調達できる金などはたかが知れていた筈ですが(フランスから借金までしてますし)。
Commented by tokkey_0524zet at 2014-07-15 21:59
>heitarohさん
どうもお久し振りです。
仕事はポツポツあるのですが相変わらず食えてなくて貧乏です^^;。
ブログ時々拝見させて貰っておりますよ。
Commented by heitaroh at 2014-07-16 18:11
継続は力なりです。当方も相変わらず、じーさんの悪あがきしております。頑張ってください。
Commented by tokkey_0524zet at 2014-07-17 17:09
どうも有難うございます^^。お互い頑張りましょう。
<< 久々に献血。 ジャンルが^^;。 >>